いづいづブログ

アジャイルコーチになりたい札幌在住SEです。アジャイル札幌スタッフ&ScrumFestSapporo実行委員。Like:パクチー/激辛/牡蠣/猫/初期仏教

「スクラムフェス札幌2021 への架け橋」に参加しました

この記事は「ScrumFestSapporo2020 Advent Calendar 2020」の5日目の記事になります。

前日の記事はこちら。 izumii19.hatenablog.com

ScrumFestSapporo2020で基調講演でお話していただいたエバッキーに「スクラムフェス札幌2021 への架け橋」というタイトルで定期ディスカッションの場を設けていただいたので参加しました。

フェスからの派生で繋がりの場が増えるのはいいですね、ギャザってる感があります!

今回のディスカッションテーマはこちらです。

Scrumのロールはなぜ3つ?

  • 最初は8つあった
    • ケン・シュエイバーと「ここから減らすエクササイズ」をやることに
    • 減らすにあたって「なぜそれを減らすのか」の説明が必要
    • 「二分岐する方向で考えるが、それだと対立が生まれるので中間を置く」という考え方でいくと結果3にいきつく。
    • 分けるのは「責任の分担」が目的
    • スクラムは心理学と組織論が関係している

最初にあった8つを聞いてみたいです!

PO vs Dev の対立構造はよく聞くが、SM vs Dev の対立構造の例はある?

  • Devがツールによって生産をあげようということに夢中になると、SMは苦言を呈す
    • ツール導入は目先の効率は上がっているが、永続的な能力があがっているわけではない
    • SMは永続的にチームの能力をあげてほしい
  • 生産性とは「実現したい何かをいつまでという期限に作る永続的な能力」
    • ツールによって生産性があがるのは能力があがっているわけではない(ツール選定能力はあがっているかもしれないけど)
  • SM vs Dev の対立構造になると中立的な役目はPOになってくる
    • POとしては「SM vs Dev」が続いてチームの雰囲気が悪くなりROIが下がるのは避けたい。
    • SMだけがサーバントリーダーなわけではない

サーバントリーダーときくとSMをイメージしますが、それぞれの役割においては誰もがサーバントリーダーでもありますね。

過去分析から未来予測へのつなげ方

  • 過去分析と未来予測の頭の使い方はちがうとエバッキーは思っている
    • それを検証するためのエクササイズ
      • 2日前の天気の情報から、昨日の天気を予測
      • 今の天気の情報から、未来の天気をを予測(明日、10日後、1年先で頭の使い方はちがう?)
      • この場合頭の使い方が違うはず。過去は「分析」、未来は「予測」。分析と予測はそもそもちがうもの。
      • 過去と未来の因果関係は薄い。過去分析からの未来予測したら10%~15%程度しか当たらないという研究結果
  • 過去分析とは
    • 結果とは変えられない事実。つまりすべて定数。
    • 結果(起きた事実)に理由を結び付けようとする頭の使い方。
  • 未来予測とは
    • 未来に対しては全てが変数。
    • 遠い未来:楽観的になる(現実味がなさすぎてどうせ当たらないと思うし、遠い未来を予測しても役に立たない)
    • 近い未来:直近の未来は今からの変化量で考えることができる
    • 未来にはボラティリティが介在する
    • 未来予測は今よりももっとよくするという思考。良くしようという行動を取り続けていくことで未来が作られていく
  • 未来予測の原則
    • 未来の目標を固定しない。未来の目標を固定して逆算でやるべきことを考えることは結局過去分析とかわらない。
    • 現状から自分達が起こせる良い変化のボラティリティ(解離量)をあげる
  • 未来予測のエクササイズ
    • 1: 30分の時間箱をつくりその中でやることを決める。「良い乖離の到着点」が定まる。
    • 2: 時間箱の乖離を検討する=> 「良い乖離の到着点」の候補が見えてくる
    • 3: "良い乖離" を実現する為の作業を洗い出す(悪い乖離に行かない為のリスクヘッジもする)
    • 良い解離が生まれると安心してすすめる、能力を最大限に引き出すことができる

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過去分析

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過去分析っぽい未来予測

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近い未来に対し、良い解離のボラティリティを積み上げる未来予測

Scrum Fest Sapporo 2020のKey Noteを観る会に参加しました

この記事は「ScrumFestSapporo2020 Advent Calendar 2020」の4日目の記事になります。

前日の記事はこちら。

nemorine.hateblo.jp

ここに前日の記事のリンクをいれる

2020/11/26(水)に[オンライン]Scrum Fest Sapporo 2020のKey Noteを観る会に参加しました。

Scrum Fest Sapporo 2020でお話していただいたエバッキーの基調講演を見るオンラインイベントです。

自分達がやったイベントのサテライト的な催しが北海道以外で開催されるのは嬉しいですね。

さて、私がエバッキーの録画見るのはもう3回目です。

1回目:スクフェスの基調講演。スタッフ作業しながら聞いていたため途中で話を見失った。スライドがないので途中で迷子になると本線に戻れない。

2回目:アウトプット(ブログ記載)するために自宅で録画を見る。また迷子になりそうになったので紙にキーワードを書きながら聴く。ようやくここに書いてあるくらいのことは理解できた。けど改めてブログを見直すとまだ「点」って感じ。

3回目:今日。ようやく”connecting the dots"できてきた気がする。

今回なりのまとめです。

成果=方法論+能力が基本原則

日本でScrumを導入している企業の多くは、Scrumの導入は頑張るし、Scrumがうまくいっているかの測定は論理的に検証しようと言う。なのに能力が高まっているかや人選が正しいかについては論理的に検証しようとしていなくて「経験で~」とか「過去にこれでうまくいったから~」ということを根拠にしていることが多い。

Scrumの導入だけでは成功にたどり着けない。もし仮にそれでうまくいったんだとしたらそれは「他社がScrumを導入し出したら追い付かれる」ということ。

方法でうまくいっていない時に方法以外のエッセンスを良くしようと努力していないし、能力をあげること(自己研鑽)している人が少ない。

自己研鑽について

組閣や人選について勉強している人が少ない(そういったことについてエバッキーが質問される機会もほぼない)。

失敗が成功につながるというものの、やみくもに失敗して成長につながることはない。成長は、失敗を論理的根拠に基づいて検証して改善するから成長になる。

POの人選や役割について

日本には優れたPOが少ないように思う。感覚(経験)を根拠にしている人が多い印象。

POはプロダクトのROIを最大化する人。(秘書問題を例にあげて)ROIを最大化させようと思ったらただ順番付けるだけではなくタイミングも考えて優先順位をつけないとならない。優先順位とタイミングがプロジェクトの成功に大きな影響を及ぼすからそんなに簡単な仕事ではない。

だから、POの選定も論理的根拠に基づいて選考し「この人でなければならない」という理由がある人を選出する。

基準

論理的根拠がないということは、立ち戻るための共通の地点、つまり"基準"がないこと。

特に集団作業の場合は感覚による基準でなく論理的根拠による基準が必要。感覚は人それぞれなので共通地点にならない。

論理的根拠があれば、結果が悪くても課題特定はできる

未来予測と過去分析

未来予測でつかう情報と過去分析で使う情報は別なもの。頭の使い方も違う。

未来予測は「論理から入って→結論づける」というアプローチ。Scrumだとスプリントプランニング。

過去分析は「最初は感覚から入って、論理と結びつける」。(答え合わせに近い感じかな?)Scrumだとスプリントレトロスペクティブ。

実行能力と未来予測能力は違うもの。「うまくいった=未来予測能力」が高いわけではない*1

感想

3回聞いてわかってきたことは、90分間いろんなことを話していると思っていたけど、90分間同じことを繰り返し伝えていたんだなということ。

  • 成果=方法論+能力
  • 方法論だけで差別化はできない
  • 経験や感覚ではなく、論理的根拠に基づいてROIを最大化する
  • 未来予測も「今までこうだったからこうなる」ではなく、学術的根拠に基づいて予測する
  • 論理的根拠に基づいた失敗であれば、課題を特定しこの先のやり方を変えることができる。つまり成長であり能力があがるということ

自分も「スクラムを導入してうまくチームに適用できることが成功への第一歩」だと思ってました。確かに第一歩なんだろうけど、2歩目3歩目と先へ進むにあたってはやはりフレームワーク以外の部分の成長が不可欠ですね。言われてみれば当たり前なことですが、言われるまでこういうことに立ち戻って考えたことがありませんでした。

「〇〇店のスープカレーキット」を使えばおいしいカレーを作れるようにはなるけど、言い換えれば誰でも同じようにおいしく作れるわけだし、自分にしか出せない味で他店と差をつけようと思ったらそこから先は腕前をあげるしかないですよね。

今回もまた勉強になりました。

すくすくスクラム仙台の皆さま、ありがとうございました。

参考

未来予測に関係する論文

「戦略的に未来をマネジメントする方法」関連論文

*1:未来予測能力が低くてもバッファがたくさんあればうまくいく。

SCRUM MASTER THE BOOK がすごく良い本だった

この記事は「ScrumFestSapporo2020 Advent Calendar 2020」の2日目の記事になります。

前日の記事はこちら。

izumii19.hatenablog.com

SCRUM MASTER THE BOOKを読了しました。

読んだ直後の感想は「Zuziが苦労して積み上げてきたスクラム道のノウハウをこんなにもあっさり教えてもらってよいのだろうか・・・」と少々申し訳ない気持ちになりました。

そう思ってしまうくらい、スクラムマスターとして必要なノウハウがぎっしりと詰まっている本です。

私は、スクラムマスターとは「SCRUMの中で一番何をしたらいいのかわからなくなる役割」だと思います。

「チームの自己組織化を助けるのがスクラムマスターの役目です」

「チームの障害を取り除くのがスクラムマスターの役目です」

というのは十分に理解しています。

でも、自己組織化を助けるって具体的に何のこと?チームの障害ってなに?取り除くためにスクラムマスターが取るべき行動は?

そこの答えは、チームや組織によっていつも変わります。

なのでスクラムマスターとしての正解がわからずモヤモヤすることが多かったのですが、この本はその気持ちに1つ1つ丁寧に答えてくれました。

この本を読む前と読んだ後で、特に自分意識が変わったポイントをあげていきます。

チームは"深く"観察する

これまでは、チームメンバーの言葉をよく聞いて、相談にのり、チームに今どんなことが起きているのかをできる限り把握することが観察だと思っていました。

ただ、それだけでは「スクラムマスターとして十分にチームを観察している」とは言えなかったように思います。これまでの観察に加えて

  • チームは発達レベルのどの段階にいるか?
  • チームには十分な説明や知識が足りているか?
  • チームの関係性はどうか?良好な関係を築けているか?
  • チームが自己組織化できない障害はなんなのか?
  • チームが恐れていることはなんなのか?

などなど、ストーカーばりに観察してこそチームの状態にあったアプローチが選定できるのだと思いました。

患者さんによく効く風邪薬を処方するには、体調や症状を良くヒアリングしてからその人にあった薬を調合するように、チームの状態も深く知れば知るほど何が必要なのかが見えてくるのだと思います。

私は今まで、訪ねてきた患者さんに市販の薬を処方するようなお医者さんだったかもしれないなぁと思いました。

チームは常に揺らいでいることを忘れない

チームはいつも揺らいでいるものだというのを私はかなり忘れていて、この本を読んだときにかなりハッとしました。

今までScrumをうまくやれていたチームでも何かのきっかけでやりにくくなったりベロシティが下がることがあります。

でも「うまくやれていたチーム」に対しては「(ちょっとしたことには影響されず)これまで通りうまくやれるチーム」って思いがちじゃないですか?

チームの発達レベルが何かのきっかけで上がったり下がったりすることはよく考えれば当たり前のことなのに、そこって軽視しがちだなと思いました。

「チームは揺らぐ」ということを忘れずにいれば、おのずと深く観察することが必要だということに結びつきますね。

スクラムマスターには必要なスキルがある

私は、世の中にはスクラムマスターに向いている人と向いていない人がいると思っています。

これまではその違いについて - ファシリテーションが上手な人 - 人の話を丁寧に聞ける人 - カイゼンのための引き出しをたくさん持っている人 - 先天的な素質、人柄

というわりと感覚的な言葉で説明していました。

この本には「スクラムマスターには以下のスキルやコンピタンスが必要である」と具体的に定義されています。

こう定義してあると自分にはスクラムマスターとして何が足りないかが明確になり、成長のためのよいものさしになりますね。

スクラムマスターもレベルがある

1人のスクラムマスターがいきなり組織を変えることはできません。1人のスクラムマスターができることは「私の開発チーム」の自己組織化を手助けすることです。

ここから初めて、次に開発チームと関係のある人達との関係性を強化し、最後にはシステム全体を自己組織化することを目標にします。

このステップを進む過程で、1人のスクラムマスターではなくスクラムマスターランドができていることも必要です。

こうやって、1つの開発チームからシステム全体まで段階的に自己組織化を進め、共にスクラムマスター自身もそれと共に成長するのだと思いました。

まさにスクラムマスター道って感じ!

すべてが繋がっていることを忘れない

マインドマップを書きながら読むとよくわかりますがチームのレベル、部族、スクラムマスターとしてのスキル、コンピタンス、障害、変化・・・

これらは全て個々の考え方ではなく、繋がり合ってお互いに作用しているものです。

これまではスクラムマスターの成長とチームの成長はやや別のものじゃないかと考えていましたが、それは自分のスクラムマスターとしてのスキルやコンピタンスが足りないためにチームをうまく導けてないだけなんだと思いました。

逆に自分の成長がチームの変化に繋がるんだということがわかって、今はもうワクワクしかないですけどね!

まとめ

私もここに書ききれないほどの気づきがあったので、スクラムマスターをやる人は心得として一読することを推奨します。

チームの発達段階についてはエラスティックリーダーシップのアプローチも参考になりそうなのでこの機会にもう一度読み直したいです。

最後に、こんな素敵な本を翻訳してくださった皆様本当にどうもありがとうございます。 きっとこの先何度も読み直すと思う、素晴らしい本でした。

おまけ

余談ですが、この本はマインドマップを書いてみたら絶対にわかりやすいと思うので、別の機会に書いてみたいです。

ScrumFestSapporo2020のAdvent Calendarを始めました

この記事は「ScrumFestSapporo2020 Advent Calendar 2020」の1日目の記事になります。

今日はこのアドベントカレンダーを始めようと思った背景などを書きます。

このアドベントカレンダーは、タイトルにもなっているように私達が企画して実施した「ScrumFestSapporo2020」というイベントがきっかけとなっています。

www.scrumfestsapporo.org

私たちがスクフェスをやろうと決めた時、大切にしていた気持ちがありました。それは、

ギャザる

ということです。

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「ギャザる」という言葉は「gathering:集会、集まり」から来ていて、意味としては「同じ想いを抱いている人たちが集まり、学び、交流することで感じられるワクワクや一体感を感じてもらい、さらにその気持ちを持ち帰ってもらうこと」のようなニュアンスで、スクフェス札幌(札幌だけじゃないかも)では合言葉のような存在です。

イベントは終了してしまいましたが、あの時ギャザった気持ちを思い出しつつ少しでも余韻を感じられたらいいなぁと思い、Advent Calendarをやってみたいなと思いました。

「ScrumFestSapporo2020」がきっかけで・・・

  • 自分の気持ちがかわった(かわらなかった)
  • 自分の行動がかわった(かわらなかった)
  • 会社やチームでなにかを試したくなった
  • 会社やチームで実際になにか取り組んでみた
  • Scrumやアジャイルへの興味が増した
  • 紹介されていた本を読んでみた
  • 紙粘土スクラムがやりたくなった*1
  • ScrumFestSapporo2020の参加レポートを書いてみた
  • 普段の生活にScrumやアジャイルのエッセンスが活きていた
  • 北海道が好きになった
  • 札幌に行きたくなった
  • @neorineが好きになった

などなど、ちょっとした変化などあったら短い記事でもかまいませんのでぜひぜひ登録してもらえればうれしいです。

*1:紙粘土スクラムはオンラインでもできますよ!

「スクラムガイド2020を読み解いてみよう」の会に参加しました

2020/11/18にスクラムガイドが3年ぶりに改訂されました。

自分の理解を深めるために、11/21(土)にふりかえり実践会さんが開催している「スクラムガイド2020を読み解いてみよう」の会に参加しましたので参加レポートを書きます。

retrospective.connpass.com

スクラムガイド日本語版はこちら

前半は、slidoにスクラムガイドの気になった点について質問をあげてもらい、その質問について意見や解釈を交わす形式で進めました。

後半からは、スクラムガイド改定のレビューに参加したエバッキーが裏話などを語ってくれました。

前半戦

スクラムマスターは、スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダーである。」とは?

  • 以前は「サーバントリーダー」と書いてあった
  • SMは雑用サーヴァントリーダーじゃないということを表現したい感じ
  • リーダー感が増した
  • Scrum.incの提言ではコミットしないスクラムマスターが増えたと書いてあるので「奉仕」じゃなくちゃんとコミットしようみたいな。
  • 大規模開発増えたから?

スクラムガイドには「スクラムが誕生したソフトウェアプロダクト開発の領域を超えて、本質的に複雑な作業を必要とするさまざまなドメインスクラムが採用されている。」とあります。

ScrumはITだけのものではなくあらゆるビジネスで適用できるフレームワークになっており、チームだけでなく組織や組閣というものを意識したよりビジネス寄りの表現になったと思います。

やることが大きく変わったわけではない印象。

「自己組織型」から「自己管理型」になったのはなぜ?

  • self organizationからself managementになった
  • 表現を変えただけ?
  • 自己管理のほうが初学者にはわかりやすいイメージはある。自己組織化→「?」となる
  • 自己組織には自己管理を含むと思うので、管理の単位が限定されたような気がする

Scrum.orgの記事を見ると、「スクラムチームは自己管理型」と書きつつも「スクラムは依然として自己組織化をサポートしている」とも書かれています。

自己組織化を「外部の作業計画や指示を課すことなく、問題や課題について組織化されたグループを形成するプロセス」とあるので、「自己組織化された状態というのは自己管理された個々の集まりから作られるものであるべきで、だからまず一人ひとりが自己管理できている状態を目指そう」ということのように感じました。

自己組織化を段階的に目指すためのファーストステップが自己管理って感じでしょうか。

プロダクトゴールって具体的にどんなもの?

ここは正直いまだによくわからず。

「インクリメントはプロダクトゴールに向けた具体的な踏み石(stepping stone)である」と書かれているので、インクリメントを積み重ねるとプロダクトゴールにたどり着くと解釈。

プロダクトゴールは「プロダクトの最終ゴール」なのかプロダクトゴールは「プロダクトの中間ゴール」なのかがよくわからないけど、参加者は後者の解釈の人が多かった印象。

ゴール繋がりの話題として「スプリントゴールはスプリントの唯一の目的である」の「唯一の目的」という表現が皆気になっていた様子(以前は「指針」)。

機会があればここはまた議論してみたい。

後半戦

スクラムガイドレビューの裏話

  • 日付変わるくらいの時間から朝の6~7時くらいまでやる
  • 今回の大きな目的はITからの脱却と組織、組閣を意識した「言葉選び」
    • 抽象度があがった
      • 国や組織で人物像は変わるので固定的な表現をしていない
      • 初学者にはやや難しくなったかもしれない
  • スクラムガイドとは

    • ガイドであってルールブックではない*1
      • ガイドなのでパーフェクトを求めない
      • スクラムガイドはスクラムのための小さなサブセット。「大事なことだけ言うよ」
      • ルールブックではなくガイドとして策定することを達成するのがとても大変(あーしろこーしろと書く方が楽だろうなぁ)。
  • POの項目に「ROI」を入れてはどうかという提案をしてフルボッコ

    • 「ROIとか当たり前」
    • 「ROIとか考えられない人達がPOやってるなんて(同情の目)」
    • POについての役割、アカウンタビリティについてアジアの人はもっと理解を深めるべき
      • エバッキーが「ROI」を連呼する理由がやっとわかってきたぞ
  • アカウンタビリティ
    • (中でも)未来に対する責任
      • 起こったことに謝るのが責任と思われがちだが、起こさないことへの責任へフォーカスすべき
      • 起こさないことへの責任って評価されにくい
      • 未来予測や長期予測、計画力が重要になってくる

スクラムガイドはガイドであってルールブックではない。だから正解やルールを定義するものではなく、最低限大事なことが書いてあるに過ぎない。旅行行くときに持っていく「地球の歩き方」と同じ。」

地球の歩き方」のメタファはすごく腑に落ちたし、皆さんもしっくり来てた様子でした。スクラムガイドはルールブックだと思っている人多そう。自分も「スクラムガイドは守破離の守」くらいの理解していたものの、ルールとガイドの違いをしっかり意識してスクラムガイドを読んでいませんでした。なので時々「書いてないんだけど、どうすれば?」となっていたので目からウロコでした。

今日イチワードですね!

延長戦

日付が変わるまでをリミットとして自由にディスカッションします。

  • カルチャライズさせたスクラムガイドほしい
  • スプリントレビューの「レビュー」に受ける印象
    • 評価、する人/される人、答え合わせ、移行判定
  • 言葉選び
    • スプリントレビューの「レビュー」よりも朝会を「デイリースクラム」と呼ぶ方が違和感あるよね
      • 言葉の影響力
      • でもみんな普通に使ってるw
  • 形と型
    • 形なし => 形づくり => 型づくり => 型崩れ => 型持ち => 型使い => 型破り => (戻って)形づくり
    • 「形」はおおざっぱな成形
    • 「型」は関節、骨格がしっかりとある
    • スクラムは「形」

感想

もう少しスクラムガイドをちゃんと読んで自分なりの疑問をもって臨んでいたら理解度が増したかも、ということでスクラムガイドをもう一度しっかりと読み直しています。

エバッキーの話は面白くて学びが多い反面、自分がまだまだプロダクトの価値や未来予測ということに対してなんの知識も知見もないということを反省させられます。

80人近くの人が参加していて、かつ自分の解釈を持っている人たちがバシバシ発言されていたおり、1つのワードに対してもいろいろな解釈があって面白かったのとスクラムガイドは世界標準であるがゆえに変える時の労力が半端ないというのをエバッキーの話から感じられてすごく楽しい3時間でした。

主催してくださったふりかえり実践会の皆さん、ありがとうございました。

参考

スクラムガイド日本語版

スクラムガイド2020のアップデートについて

The Scrum Team is Self-Managing

*1:一部"ルール"以外の適切な表現が見つからない文言はそのまま残ってる。

Scrum Fest Sapporo 2020 参加レポート #2 : アジャイル札幌 Learn from experience and continue to repair wholeness

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Scrum Fest Sapporo 2020の参加レポート2つ目です。

1つ目はこちらです。

izumii19.hatenablog.com

今回はしまださんの招待講演について書きます。

アジャイル札幌: Learn from experience and continue to repair wholeness 島田浩二さん(@snoozer05)

2017年までアジャイル札幌のメンバーとして一緒に活動していたしまださんです。

自分の中では島田さんじゃなくて「しまださん」です。

なんかこう、ひらがなのやわらかいイメージ。

twitter.com

こちらのセッションは、札幌の悩める開発者に向けてしまださんが体験したことやその中で感じたことを4つのメッセージとして話してくれました。

こちらも特に印象に残ったことと自分が感じたことを以下にまとめます。

  • 全体を意識する
    • "単に石を切り出す場合でも、常に心に聖堂を思い描かねばならない"
    • 全体とは切れ目のない連続体。聖堂が全体なのではなく聖堂とその周囲の世界(景色、人、営みも含めたすべて)と調和している状態
    • ひと・プロセス・プロダクトの"いきいき"の連鎖
    • action->feedback->lean->repair->transform…の繰り返し、それは呼吸のようなもの
  • 感情に耳を傾ける
    • いきいきしているかを確かめる
    • 定量的な指標だけに頼ると思わぬ落とし穴がある:例)コブラ効果
    • ソフトウェア構築をしているのは人。人のフィードバックを成功の測定に含めることが大事
      • 良いと感じるなら、促進する方法を考える
      • 不安なら、取り除く方法を考える
      • 何もないなら、それを続ける理由があるのか考える
    • きちんと説明できないことを恐れない。名前がなくてもそれが真をついていることがある。
    • 意見を変えることをこわがらない
      • Will,maybe i'm still leaning a bit too. (自分もまだ学んでる途中なんだ)
  • 人ではなくプロセスをリードする
    • チームの成長は常にゆらいでいる、その状態に応じたリードの仕方がある
    • 有機的リーダーシップ
    • エラスティックリーダーシップにヒントはある
  • 練習する

感想

3つめのメッセージで「プロセスをリードする」という言葉がありましたが、この招待講演の場でしまださんが私達にメッセージを伝えてくれそれを聞いた人たちの心に変化があったのなら、これがまさに「場を前に進ませる=プロセスをリードする」ということなんだと思います。

しまださんは言葉の選び方がとても上手でいつも柔らかい。

イメージで言うと白い綿毛みたいな感じなんですが、そのメッセージはしまださん自身が経験し考えて試行錯誤した結果が言語化されたものなので柔らかい中にも芯を感じます。

これもおなじく「action->feedback->lean->repair->transform」の結果がしまださんのメッセージそのものだからなんだと気づきました。

しまださんの言葉が深く心に刺さるのはなぜだろうと考えていたんですが、このセッションのメッセージそのものを今リアルタイムで体験できているからなんですね。

なにか違和感を感じたらそれを解決する方法を探し手を動かして知見をためる、そしてその営みを呼吸のように何度も何度も繰り返す。ebackyとしまださんは表現は違えど伝えていることは似ていると思いました。

一方でebackyの「感覚を頼りにせず論理的に仮説検証する」と、しまださんの「きちんと説明できないことを恐れない」と対照的なアプローチにも思えますが、私にはそれがまたグッときました。

なんか著名な人が「こうあるべきです」っていうと、それが正解でありそれしか正解がないような気になってしまうんだけど、答えは必ずしも1つじゃなくその人の経験によって導き出されるものなんだということをお二方が示してくれた気がして、「自分には自分なりの答えがあって良い」ということを強く感じました。

登場した本

時を超えた建設の道

時を超えた建設の道

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

  • 作者:Roy Osherove
  • 発売日: 2017/05/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

*1:しまださんとは2017年までアジャイル札幌で一緒に活動していて、紙粘土スクラムのワークを考えたりアジャイルジャパンのサテライトをやったりとたくさんの思い出があります。

Scrum Fest Sapporo 2020 参加レポート #1 : みんなで創る基調講演

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Scrum Fest Sapporo 2020に参加してきました(参加してきましたというより実行委員でした)。

実行委員からの視点は一旦置いておいて、まずは参加者として講演やセッションを受けた感想などを書いてみたいと思います。

今回はebackyの基調講演について書きます。

みんなで創る基調講演 江端一将さん(@ebacky)

江端さんというよりebackyのほうがしっくりきますね。

twitter.com

90分ノンストップで話し続けたくれたebackyですが、全部を書くことはできないので特に印象に残ったことと自分が感じたことを以下にまとめます。

  • 「成果=方法論+能力」が基本原則
    • プロジェクトがうまくいかない時に方法論ばかり変えがち。Scrumの導入ばかり頑張る企業が多いのもそう
    • 方法を変えること以外に何がまずかったかを論理的に検証しているか?
    • 成果をあげるには、方法論と能力の両方を学術的な根拠に基づいた仮説検証が必要
    • 感覚で仮説検証してても成果はあがらない。上がったとしてもそれは何かを変えたことによって一時的に上がっているように見えるだけ(でも勘違いしている人多い)。
  • 組閣と人選
    • プロダクトのROIに責任を持つというのはそんなに簡単なことではない。なのに感覚を頼りにPOを決め、そのPOは感覚で優先順位決めている。
    • 組閣や人選から論理的に考える。つまり、POを選ぶところから論理的である必要がある*1)。
    • POを選ぶには「その人がPOでなければならない理由」がきちんとあって選ばれるべき。
  • 未来予測能力を高める
    • 実行能力と未来予測能力は違うもの
    • 未来予測した結果と実行結果が同じだったとき未来予測能力が高いと判断しがち。でもそれってやっぱり「感覚」でしかない。
    • 基準を決め客観的評価を行う、それが未来予測能力を論理的に高めること
  • 変化に強いチームとは
    • 論理的に考えられるチーム

感想

率直に言って最高の基調講演でした。

見ず知らずの人を本気でこんなに叱ってくれる(いや、叱ってない)人いますかね?私そこにebacky愛をビシビシ感じました。

この話を聞けて良かったと本気で思うし、POやSMという役割に対してこれまで以上に真摯に向き合う必要があると思いました。

CSMとってちょっと調子に乗ってた自分をやさしく殴りたいです(パチン)。

基調講演では「論理的に」という言葉を連呼していたebackyですが、決して「感覚」を否定しているわけではありません。

「チームという複合的な形で何かに挑もうとした時に、感覚を頼りにしたやり方はあまりにも効率が悪くて失敗しやすい上に何も測れないので、成果を求めるなら論理的に学術的根拠によって仮説検証していくことをするべき。それなのにそこをやらずに「Scrumがなんとかしてくれる」と思って導入ばかり頑張っている企業にはあまりにも多いよ、そんなんで生き残れないでしょ?」ということだと受け取っています。

「未来はわからないもの」ということを都合のいい盾にして、考えることを放棄したり考えない理由を正当化しちゃいけないと思いました。

一方で、「論理的に考えることを意識するあまり、一切の感覚を捨てさる」ということもしなくて良いと思っています。

例えば人付き合いは「理由はわからんけどなんか合う」というのもありますし、自分の場合はこの匂いを嗅ぎ分ける能力で得をしてきたことが結構あります。

つまり、場面によって使い分けられることが何より大切だと考えています。

なにわともあれ、この場でこういう話をしてもらえることが本当にありがたいと思いました。

今からできること

ebackyの話を聞いた自分が今日からできることはなんだろうと考えた時に、まず「自分の言葉でブロクに書く」ことだと思いました。

話を聞いている時って理解した!と思っているんだけど、いざ文字にすると全然うまくまとまらないんですよね。

inputはできるけどoutputが下手なのは感覚に頼っている証拠だと思いました。

加えて、自分は話を理解し咀嚼して消化するのに時間がかかるタイプなので、消化不良なときは「〜な感じ」とか「〜みたいな」という言葉をよく使ってしまいますが、これも同じ理由だと思います。

ebackyの話を聞いていて今後はここを少し直していきたいと思い、この記事を書くときはあいまいな表現をしないよう気をつけて書きました。

その結果、この短いブログを書くまでになんと4時間かかってます(!!)が、おかげでebackyが何を伝えたかったのか自分なりによく理解してまとめられたと思います。

*1:SM選出も同じですね。