第2回 1on1カンファレンス - 個々が能力を発揮するための支援 -
今日は1on1カンファレンスに参加してきました。とてもよいイベントだったので参加して本当によかったです。
たくさんのセッションの中から特に印象に残った2つについてまとめました。*1
「『誰かと2人で話をすること』の特殊性について」~「1 on 1」に必要な「安全」について精神科医・産業医の視点から~
精神科医で産業医*2の小川耕平先生から医者という立場からの1on1がどういうものであるかという話を、医学の歴史など踏まえてお話してくださいました。
お話のイントロで、医師は身分が低い職業であったこと、床屋外科医のアンブロワーズ・パレが技術や知識に加え、その人柄が評価されたことでフランスの王室公式外科医になったことなどを聞き、傷ついている人が医師に求めるのは外的な治療だけではなく心の安心も求めているのだと感じました。
また、精神科医という立場からの1on1では、心理的安全に加え「物理的安全」も同じくらい重要であること、(病気の状態やその人のコンテキストなどから)全ての人が1on1で会話ができるわけではないということを聞き、このあたりは医療における1on1だからこその観点や、逆に私達のようなソフトウェア開発者にも共通する点などがありました。
精神分析の過程で患者が医師やカウンセラーに愛情を感じたり、逆に敵意を向けるようになるというのを聞くことがありますが、前者を陽性転移、後者を陰性転移と呼ぶそうです。
そして、上記の関係において患者と医師の立場が逆転した状態を逆転移と呼ぶそうです。
例えば陰性逆転移とは医師やカウンセラーが患者に対し敵意を持つことをいいます。
このような逆転移は一見医師としてあるまじき行為のように思えますが、医師も人である以上は自然なことであり、逆転移の状態であるということに気づき認めることが大切なのだそうです(この場合、担当を外れる、部署を移動するなどして対応ができる)。
私達もよく1on1を行いますが、双方の相性もあるし上記のような転移も実際起こっていると思います。「これは転移かもしれない」と気づくことにより、よりよい対応に切り替えることができると思うのでこの話を知ることができて本当によかったと思いました。
対話を一歩深める方法
Gallup認定コーチでキャリアアドバイザーの濱田千佳さんのお話です。
ストレングスファインダーの観点を交えつつ、1on1で起こりがちなパターンについてお話してくださいました。 濱田さんの考える1on1の3大要素は傾聴+質問+承認とFBで、なかでもゆったりとしたスピードで傾聴するが8割、それ以外が2割だそうです。
傾聴のテクニックの1つのオウム返しというのも、単に相手の言ったことを繰り返すだけのように見えますが、本人が話したこと(=感情)をオウム返しすることで、本人自身が自分の感情を耳からインプットして、改めてその感情についてもう一度考えることができるのだそうです。
オウム返しは単なる念押しではなくこのような効果があるというのは知らなかったのでとても興味深かったですし、こういう事を知っていると自分が聞く立場になった時も意味をもってオウム返しができるようになると思います。
その後、1on1において一見良さそうだけど実はイマイチなパターンも紹介されていました。
相手の状況をよく理解せずに単方向へ導いてしまったり、自分が良いと思った方向を押し付けてしまったり、自分の話に置き換えたり…。何とかしてあげたいという気持ちが働いて、よかれと思ってやっていることでもそれは相手の心に寄り添えていない可能性があるということです。
相談する人と聞く人をストレングスファインダーの視点から見た場合、強みや成長に対するアプローチの方法がそもそも違うケースがあります。
この場合、聞く側にとって得意なアプローチが相談する側にとっても良いアプローチとは限らないのです。
濱田さんはセッションの中で何度か「その人の中に答えはある」とおっしゃっていましたが、それはこういうことなんだなぁと思いました。自分の正解を当てはめるたり、自分の考えで相手を導くのではなく、相手の中にある答えを引き出すお手伝いをするのが1on1なんだと思い、1on1の概念が変わりました。
ストレングスファインダーも相手の中にある答えを引き出すためのツールとしてうまく活用できるといいなと思いました。
おわりに
初めての参加でしたが、率直な感想としてはお値段以上の価値がありました。
参加してほんとによかった!!
単純に私が1on1について無知すぎるので学びが多いというのもありますが、異業種における1on1とはどういうものなのか、プロのコーチからの視点ではどうなのかという、ソフトウェア開発以外の観点からのお話を聞けたということに本当に価値がありました。
そして、各セッションの合間にトークタイムや質問タイムを設けたり、Discordでも交流ができるように工夫されていて、何のストレスもなく1日楽しめたのは裏でスタッフの皆さんが万全の準備を行ってくださったおかげだと思います。
このようなイベントを開催していただき心から感謝です。
もし3回目もあればぜひ参加したいと思いました。
登壇いただいた皆様、スタッフの皆様ありがとうございました!