アドバイスとダメ出しの違いについてダラダラ考察
この記事は「ScrumFestSapporo2020 Advent Calendar 2020」の11日目の記事になります。
注記:アドベントカレンダーの記事にしようと思ったけど、どうやらやめたようです。
ですが、最近この記事と似たようなテーマについてディスカッションして面白かったので、ついでにこの記事も公開します。
他人からの言葉には基本的に耳を傾けたほうがよいと思ってるんですが、なぜか素直な気持ちで聞けるときと聞けない時、ありませんか? 私はあります。
心境の変化もあり以前にもまして周りの意見をよく聞くように心がけているのですが、時々受け入れにくい時があってそういう時は落ち込んだり腹が立ったりします。
それがアドバイスと感じられたなら受け入れられるけど、ダメ出しだと感じると受け難いんじゃないかと思い、アドバイスとダメ出しの違いについて考えてみました。
シチュエーション
以下、架空のシチュエーションです。
私はパティシエです。友人の誕生日に新作のバースデーケーキを作ってプレゼントしました。仕事ではなく好意としての行動なので対価(=お金)はもちろんいただいていません。
そのバースデーケーキは、友人がパーティーに参加した人達と一緒に食べました。
登場人物
登場人物は以下の3人です。
シチュエーションについてパターン分けする
「ケーキの感想を聞く」という単純な場面を想定した場合でも、実際には以下のようなパターンがあります。
- 相手は当事者か、第三者か
- 自分が相手に意見を求めているのか、そうでないか(相手に意見を求めている=「ケーキの感想聞かせてほしいんだけど」と自分からアプローチをかけている状態)
- 意見の内容は好意的か、否定的か。今回は否定的のみを対象し「飾り付けが好みではなかった」というフィードバックがあったことにします。
まず、「パターン」ごとに「その時に抱く気持ち」を書き出して、受け入れやすさを☆で表してみました。
なお「気持ち」のソースは私です。
No | 相手 | 意見 | ☆ | 気持ち |
---|---|---|---|---|
1 | 当事者 | 求めている | ★★★ | 自分と関係性がある 自分が意見を欲している 自分と違う意見が返ってくるかもしれない心構えがある 受け入れようという気持ちがある |
2 | 当事者 | 求めていない | ★★☆ | 自分と関係性がある 心の準備ができてない 不意打ちな分、ダメージは[1]より大きいが受け入れようという気持ちがある |
3 | 第三者 | 求めている | ★☆☆ | 自分と関係性がない 自分が意見を欲している 自分と違う意見が返ってくるかもしれない心構えがある 受け入れようという気持ちがある 当事者の意見ではない分、やや懐疑的になるかも |
4 | 第三者 | 求めていない | ☆☆☆ | 自分と関係性がない 心の準備ができてない そもそも関係ないでしょ 突然なんなの 余計なお世話 気持ちに余裕があれば聞くことができるかも 不意打ちな分「悲しい・むかつく・聞きたくない・関係ない」が割り増し |
パターンを分析する
気持ちに着目してみると以下のことがわかりました。
- 当事者からの意見は、受け入れようと努力する。
- 第三者からの意見は、当事者の意見より受けいれにくい。
- 自分から意見を求めた場合は、相手にかかわらず受け入れようと努力する。
- 意見を求めてないのにふいに言われた場合、意見を求めた時に比べて心の準備ができていない分ダメージが割り増しになる。
- 意見を求めていない第三者からの場合、拒否反応が強い
アドバイスとダメ出しという観点でまとめるとこんな感じでしょうか。
- 自分から意見を欲している場合は、心の受け状態が整っているので相手にかかわらず「アドバイス」と感じる
- 相手が当事者だったら、関係ある相手からの意見なので「アドバイス」と感じる
- 相手が第三者、かつ意見を求めていない場合、「ダメ出し」と感じるので拒否反応が強い
つまり、関係ない人から自分の受け入れ状態を無視して否定的な意見を投げられることが受け入れられないのだということがわかりました。
どうすればよいか
自分が言う側の場合
先に軽く観察する
否定的な意見を述べる場合、まず相手がその言葉を受け入れられる状態になっているかどうか観察したらよいと思います。
いきなり本題に入らずに、「自分はちょっと違う意見なんだけど」と前置きして様子を見てみるとよいかもしれません*1。
「どういうこと?」と返して来たら少し心の準備ができてそうなので話しても良いかもしれませんが、すでにムッとしたり顔色が曇るようであれば今はタイミングではなさそうです。
言いたいだけになってないか自分に問う
第三者が意見を述べる場合、相手のためというより第三者の自己満足になっている場合があります。言って自分がスッキリしたいとか、自分が正しいって示したいとか、そういうやつです。
「なぜそれを伝えるべきなのか」を考えて、言わなきゃいけない理由がなければ自己満足したいだけかもしれません。
聞く側の場合
「まずは、承ります」の気持ち
最初にも述べたように他人の意見にはできるだけ耳を傾けたほうが良いと思います。
ジョハリの窓からもわかるように自分が知っている自分はごく一部で、他人からみた自分は自分自身で知ることができないからです。だからまずは「やるかどうかはおいといて、まずはその情報を承ります」くらいで聞くのはどうでしょう。浅く受け止める感じです。
「耳を傾ける」とは「相手の言うことを受け入れる」ということではありません。①一旦聞いた上で、②受け入れる/受け入れないは自分で決める、の①の部分です。
その時は聞きたくないけど後になって考えたら言ってもらってよかったと思えたことも多かったので、②は自分のタイミングでやれば良いと思いました。
場合によってはスルー
明らかに相手の自己満足を満たすだけの提言はスルーでいいと思います。 いつもダメージばっかり与えてくる相手だったら人間関係破綻してもかまわないので(むしろそのほうがいいかも)。
必要な傷はあるかもしれないけど、ムダに傷つく必要はないよな。
おわりに
否定的な意見はよほどポジティブ思考の持ち主じゃない限り、多かれ少なかれ心にダメージを負います。 ですが、あえてその意見が必要な時もありますからなるべく前向きに受け取れるようになりたいものです。
がんばろ。
*1:特にLINEやメールなど文字の場合、相手の受け入れ体制がわからないまま本題投げがち