いづいづブログ

アジャイルコーチになりたい札幌在住SEです。アジャイル札幌スタッフ&ScrumFestSapporo実行委員。Like:パクチー/激辛/牡蠣/猫/初期仏教

「スクラムガイド2020を読み解いてみよう」の会に参加しました

2020/11/18にスクラムガイドが3年ぶりに改訂されました。

自分の理解を深めるために、11/21(土)にふりかえり実践会さんが開催している「スクラムガイド2020を読み解いてみよう」の会に参加しましたので参加レポートを書きます。

retrospective.connpass.com

スクラムガイド日本語版はこちら

前半は、slidoにスクラムガイドの気になった点について質問をあげてもらい、その質問について意見や解釈を交わす形式で進めました。

後半からは、スクラムガイド改定のレビューに参加したエバッキーが裏話などを語ってくれました。

前半戦

スクラムマスターは、スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダーである。」とは?

  • 以前は「サーバントリーダー」と書いてあった
  • SMは雑用サーヴァントリーダーじゃないということを表現したい感じ
  • リーダー感が増した
  • Scrum.incの提言ではコミットしないスクラムマスターが増えたと書いてあるので「奉仕」じゃなくちゃんとコミットしようみたいな。
  • 大規模開発増えたから?

スクラムガイドには「スクラムが誕生したソフトウェアプロダクト開発の領域を超えて、本質的に複雑な作業を必要とするさまざまなドメインスクラムが採用されている。」とあります。

ScrumはITだけのものではなくあらゆるビジネスで適用できるフレームワークになっており、チームだけでなく組織や組閣というものを意識したよりビジネス寄りの表現になったと思います。

やることが大きく変わったわけではない印象。

「自己組織型」から「自己管理型」になったのはなぜ?

  • self organizationからself managementになった
  • 表現を変えただけ?
  • 自己管理のほうが初学者にはわかりやすいイメージはある。自己組織化→「?」となる
  • 自己組織には自己管理を含むと思うので、管理の単位が限定されたような気がする

Scrum.orgの記事を見ると、「スクラムチームは自己管理型」と書きつつも「スクラムは依然として自己組織化をサポートしている」とも書かれています。

自己組織化を「外部の作業計画や指示を課すことなく、問題や課題について組織化されたグループを形成するプロセス」とあるので、「自己組織化された状態というのは自己管理された個々の集まりから作られるものであるべきで、だからまず一人ひとりが自己管理できている状態を目指そう」ということのように感じました。

自己組織化を段階的に目指すためのファーストステップが自己管理って感じでしょうか。

プロダクトゴールって具体的にどんなもの?

ここは正直いまだによくわからず。

「インクリメントはプロダクトゴールに向けた具体的な踏み石(stepping stone)である」と書かれているので、インクリメントを積み重ねるとプロダクトゴールにたどり着くと解釈。

プロダクトゴールは「プロダクトの最終ゴール」なのかプロダクトゴールは「プロダクトの中間ゴール」なのかがよくわからないけど、参加者は後者の解釈の人が多かった印象。

ゴール繋がりの話題として「スプリントゴールはスプリントの唯一の目的である」の「唯一の目的」という表現が皆気になっていた様子(以前は「指針」)。

機会があればここはまた議論してみたい。

後半戦

スクラムガイドレビューの裏話

  • 日付変わるくらいの時間から朝の6~7時くらいまでやる
  • 今回の大きな目的はITからの脱却と組織、組閣を意識した「言葉選び」
    • 抽象度があがった
      • 国や組織で人物像は変わるので固定的な表現をしていない
      • 初学者にはやや難しくなったかもしれない
  • スクラムガイドとは

    • ガイドであってルールブックではない*1
      • ガイドなのでパーフェクトを求めない
      • スクラムガイドはスクラムのための小さなサブセット。「大事なことだけ言うよ」
      • ルールブックではなくガイドとして策定することを達成するのがとても大変(あーしろこーしろと書く方が楽だろうなぁ)。
  • POの項目に「ROI」を入れてはどうかという提案をしてフルボッコ

    • 「ROIとか当たり前」
    • 「ROIとか考えられない人達がPOやってるなんて(同情の目)」
    • POについての役割、アカウンタビリティについてアジアの人はもっと理解を深めるべき
      • エバッキーが「ROI」を連呼する理由がやっとわかってきたぞ
  • アカウンタビリティ
    • (中でも)未来に対する責任
      • 起こったことに謝るのが責任と思われがちだが、起こさないことへの責任へフォーカスすべき
      • 起こさないことへの責任って評価されにくい
      • 未来予測や長期予測、計画力が重要になってくる

スクラムガイドはガイドであってルールブックではない。だから正解やルールを定義するものではなく、最低限大事なことが書いてあるに過ぎない。旅行行くときに持っていく「地球の歩き方」と同じ。」

地球の歩き方」のメタファはすごく腑に落ちたし、皆さんもしっくり来てた様子でした。スクラムガイドはルールブックだと思っている人多そう。自分も「スクラムガイドは守破離の守」くらいの理解していたものの、ルールとガイドの違いをしっかり意識してスクラムガイドを読んでいませんでした。なので時々「書いてないんだけど、どうすれば?」となっていたので目からウロコでした。

今日イチワードですね!

延長戦

日付が変わるまでをリミットとして自由にディスカッションします。

  • カルチャライズさせたスクラムガイドほしい
  • スプリントレビューの「レビュー」に受ける印象
    • 評価、する人/される人、答え合わせ、移行判定
  • 言葉選び
    • スプリントレビューの「レビュー」よりも朝会を「デイリースクラム」と呼ぶ方が違和感あるよね
      • 言葉の影響力
      • でもみんな普通に使ってるw
  • 形と型
    • 形なし => 形づくり => 型づくり => 型崩れ => 型持ち => 型使い => 型破り => (戻って)形づくり
    • 「形」はおおざっぱな成形
    • 「型」は関節、骨格がしっかりとある
    • スクラムは「形」

感想

もう少しスクラムガイドをちゃんと読んで自分なりの疑問をもって臨んでいたら理解度が増したかも、ということでスクラムガイドをもう一度しっかりと読み直しています。

エバッキーの話は面白くて学びが多い反面、自分がまだまだプロダクトの価値や未来予測ということに対してなんの知識も知見もないということを反省させられます。

80人近くの人が参加していて、かつ自分の解釈を持っている人たちがバシバシ発言されていたおり、1つのワードに対してもいろいろな解釈があって面白かったのとスクラムガイドは世界標準であるがゆえに変える時の労力が半端ないというのをエバッキーの話から感じられてすごく楽しい3時間でした。

主催してくださったふりかえり実践会の皆さん、ありがとうございました。

参考

スクラムガイド日本語版

スクラムガイド2020のアップデートについて

The Scrum Team is Self-Managing

*1:一部"ルール"以外の適切な表現が見つからない文言はそのまま残ってる。