いづいづブログ

アジャイルコーチになりたい札幌在住SEです。アジャイル札幌スタッフ&ScrumFestSapporo実行委員。Like:パクチー/激辛/牡蠣/猫/初期仏教

Joy,Inc ひとり読書会 #0

アドベントカレンダーの12/2の記事として「ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント」を読んで、私が特に気になったところについてまとめました。書ききれないので連載する予定。

発売した時にすぐ買ってその時も読んだんだけど、最近訳者の川口恭伸さんと直接お会いする機会があり、川口さんとお話をしているうちにもう一回読み返したくなりました。

※ちなみに文中には「Joy」という文言が登場しますが、「喜び」のことであり食器用洗剤のことではありません。

ビジネスに喜びは必要?

「喜びに満ちていて活気のあるチームとそうでないチーム。どちらと一緒に仕事をしたい?」と聞かれたらなんて答えますか?

私は「喜びに満ちているチームがいい」って答えます。理由は、

  • 毎日過ごす場所は喜びに満ちているほうが楽しそうだから 
  • 問題や大変なことが起きてもみんなで協力して解決できそうだから
  • 新しいアイディアがたくさんでてワクワクできそうだから 

この質問って多分ほとんどの人が「喜びに満ちているチーム」って答えると思うし、イノベーションって人と人とが集まる場所、かつ喜びに満ちたところから生まれるんだと思ってます。 イノベーションが枯渇しちゃったら未来への変化は加速しない。だから、こういう空間やチームがいつの時代もとても重要なんだと思う。

現実はどうだろう

一方で「会社で働いている人達の喜び」にフォーカスしている企業って、今現在まだまだ少ない気がします。

個人的に、最近衝撃的だったのはこれ。

sirabee.com

ゲストに喜びと驚きを与えてくれる夢の国でさえ、その裏側は喜びとは程遠いらしい。

ディズニーランド大好きだし、ここに行くとほんとに魔法にかかるのでなんだかとても残念な気持ちになりました*1

日本の企業って「お客様の喜び=価値(お金)」というのはイメージしやすいからかお客様を喜ばせることには敏感だし、そこに対してはすごく一生懸命動くんだと思う。 でも、「その場所で働く人の喜び」については疎い気がする。もしくは考えたり行動はしているけど成果が出てないのか、お客様のことを考えるあまり自己犠牲を払ってしまうのか…。

実際、イモトもイッテQで「辛くなければ仕事じゃない」って言ってたし、自分もそれを聞いてけっこう納得してしまって「仕事って、そもそも楽しさや喜び求めるものじゃないんだな」と思ってました*2

喜び? ご冗談でしょう

喜びとビジネスの成功が一緒に語られることはあまりない。この業界ではとりわけそうだ。

著者もこう言っているくらいなので日本うんぬんじゃなくてIT業界が特にそういう風習なんだろうなぁ。

喜びが企業や未来にいい影響をもたらすとわかっていながら、そうではないという現実。イマココ。

ライト兄弟は空を飛びたかった

この本を読んでいてめっちゃグッときたところがあるので、突然ですがここで紹介します。

人類初の有人動力飛行にライト兄弟は成功してラングレーは敗北した理由について、著者の考えを述べているところです。

ラングレーは飛行機を作ろうとしていた。ライト兄弟は空を飛びたかった。

私、ちょうどここを読んでいるとき朝会社に向かう電車の中だったんだけど、めっちゃグッときて自然と涙がポロポロと出てきてなんとも言えない気持ちになりました。

いい大人が本読んで通勤電車で泣いちゃうわけですよ。そのくらい自分にとってはこの言葉が琴線に触れたんですよね。

自分もライト兄弟のように「空を飛びたい」という気持ちに突き動かされて毎日生きているのかなぁ。

そういった心の迷いみたいな部分にこの言葉が刺さってしまったようです。

仕事をしていたら(ライト兄弟は仕事で飛行機作ってたわけじゃないけど)問題やなかなか超えられない壁や困難が必ずあって、でもそれを超えないと先に進めないという場面が何度もあるわけですよね。

で、そこはやっぱり人間なんで、何度もそういう場面に出くわすと「もう無理かな」「やめちゃおうかな」「できなくてもいいしな」みたいな気持ちが湧いてきます。 そこを越えられる原動力となりうるのが「越えた先にあるであろうJoyと、過去に経験したJoy」なんだと思うんです。

大変だけど辛いけど、ここを乗り越えて喜びや達成感を味わいたい、そういう感覚をたくさんの人とシェアしたいという気持ちがあるから、越えたい、もう少し頑張ってみようって思える。

高ければ高い壁の方が 登った時気持ちいいもんな


ミスチルもこう歌ってることですしね。

ビジネスにこそ喜びが必要

もうひとついうと、「やめるor続ける」を自分で判断できるものはまだよくて、例えば話が子育てとかになってくると

「子育て辛い。もうやめる」

ということはできないわけですよ。人ひとりの人生を背負っているので、辛くても放棄するわけにはいかない。*3

でも10辛いことがあっても、1つ嬉しいことがあったらそれで全てが帳消しになるというか「やってきてよかったな」って思えるんです。

母の日にたったひとこと「お母さん、いつもありがとう」と書いてある手紙をもらうだけで辛くて大変だったことが全てが報われて、明日からまた頑張ろうって思えるんです。


それだけ「Joyのちから」ってほんとすごいんです。


ああ、めっちゃ食器用洗剤のCMっぽくなってしまった…。気を取り直して。

ビジネスにもこういう気持ちになる場面がもっと必要だと思いました。

もちろんお客様から直接感謝の言葉を聞けたときにはすごく嬉しいしやっぱり達成感があります。でも働いている人みんながお客様と近い距離感で仕事しているわけではないので、喜びを実感できる機会が圧倒的に少ないと思うんです。

とりわけこの業界ではお客様と直接かかわるよりもコードと格闘したり、社内であーでもこーでもと言っている時間もほうが長いですし。

だからこそ、仕事をする場所が喜びに満ちた場所だったらすごくいいなと思います。

今回はこの辺で続きは#2で。

*1:来園するゲストとしては残念だというだけで、問題が表に出たことは良かったのではないかと思う

*2:べつにイモトのせいじゃないけど。昔はそうじゃなかったんだけど年月を重ねるうちにそう考えるようになってきたと思う。正直この本を読むまでずっとそう思ってた。

*3:ここだけ読むと「子育て=辛い」と思われてしまうかもしれませんが実際はそんなことはなく楽しいこともたくさんありますし、私は子育て経験ができていることにはとても感謝しています。