いづいづブログ

アジャイルコーチになりたい札幌在住SEです。アジャイル札幌スタッフ&ScrumFestSapporo実行委員。Like:パクチー/激辛/牡蠣/猫/初期仏教

認定研修 Agile Testing for the Whole Teamを受けました

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このロゴかわいすぎる

3/1(月)~3/3(水)の3日間で認定研修 Agile Testing for the Whole Teamを受けてきました。

まずは参加のきっかけから書くのがよさそうなのですが、RSGT2021の話も絡むので最後にします。

私のAgileTestingレベル

10段階の1くらいでしょうか。 Agileについてはわり勉強していますがテストはほぼ素人です。

QAや品管、テスター、テスト界隈で有名な人達が「より学びたい」という目的をもって参加されている印象でした。私みたいに「すみません、全く知らないので勉強しに来ました」って人はどのくらいいたのかな。

結論から言うとどちらのタイプの人でもたくさんの学びが得られる内容なので、ここはあんまり心配しなくてよさそう。

どんな感じで学ぶのか

研修内容はここに記載していますのでご覧いただければと思います。

www.jp.agilergo.com

3日間で、Janetさん本人の講義を受けながらグループ演習も行います。Janetさんのお話は同時通訳されるので日本語で聞くことができます。さらに各コンテンツの概要は事前にオンライン動画で予習が可能です。*1

私もオンライン動画を見て講習に臨んだのですが、グループ演習でことごとく躓きました。特に2日目のグループ演習はほとんどうまくできなかったです。 ただ同じチームの人達に助けてもらったり川口さんがフォローしてくださるので、落ちこぼれたりはしないので大丈夫*2

こういうのを体験すると本当に「手を動かして理解する」「わかったことを文字や図に起こせないのは理解してない証拠」というのが身に沁みます。

Whole Team

この研修名にもある"Whole Team"という言葉がすごく大事なメッセージで、テストはテスターの仕事ではなくチーム全体の活動であり、そのためにはチーム全体で対話し、質問し、共通理解を得て行動するのですよってことを研修全体を通じて感じました。

例えば手を動かす演習では、会話が止まると手も止まるという場面がたくさんありました。 逆に「これってどういうこと?」「これはそういう意味じゃなくてこうじゃない?」「あと○分だよ、どうする?」みたいな会話が私達の次のアクションを引き出していて、チーム全体の会話がチームの行動を起こしているのだということを感じました。

もう一つ、Whole Teamが大切だと感じたのが以下のエクササイズです。

Janetさんが図を見せて「この星を書くための点の数はいくつですか?」を質問しました。確かほとんどの人が10と答えていたのですが、中には20とか24とか26という答えもありました*3

「なぜ答えはバラバラになったと思いますか?それは皆さんが各々、自分が立てた仮説を正しいと思い込んで私に質問しなかったからです。『この点も数えますか?』『ここも含めますか?』という質問があればもっと皆さんの答えは近づいたでしょう。プロジェクトでも同じことがよく起きています。勇気をもって質問してください。」

つまり自分の仮説にそって各々が行動しているうちは共通理解になっていない、すなわち"Whole Team"になれてないということなんですね。

Janetさんのこの言葉を受けて質問と勇気について考えました。

質問と勇気

「勇気をもって質問してください。」

Janetさんの言葉から「なぜ質問には勇気が必要なんだろう。勇気を出さずとも質問することができればもっと簡単に共通理解にたどり着けるのでは?」と思い、Janetさんに質問してみました。

Janetさんは「質問には勇気が必要なんです、だから勇気をもって質問してください。もしその質問をする勇気が出ない人は『その質問をしなかったら未来はどうなるか』を想像してください。そうすればあなたがその質問をするべきかどうかがわかるはずです。」と答えてくださいました。

きっと、質問に対して楽したいという気持ちが自分の中にあったんだと思いますが、"そんなものはないので質問しなかったらどんなヤバいことになるか想像して行動する"っていう答えを聞いて、すごく納得しました。これ一生忘れないと思う*4

質問しなかったら、さっきの星のエクササイズで起きたようなことがプロジェクトでも起こるってことです。なんだったらすでに起きてます。共通理解はWhole Teamの基盤ですね、大切。

研修の後、ペアプロした話

私はこの頃、実務が設計フェーズに差し掛かっていました。

いつもならここでテストのことまで考えない私ですが、「この設計で今テストを考えてみよう」と思いデシジョンテーブルを書いてみました。

そしたらなんとデシジョンテーブルが爆発しました。

それでテストに詳しい@nemorineに「デシジョンテーブルが爆発したのでたぶんテスト容易性について全然考慮できてないのだけど、テスト容易性が高いってどういう状態のことなの?」と相談しました。

そしたら「よし、今からペアプロしよう!」となり、このブログに書かれていることを実際にペアプロしながらやってみました。

勢い大事!

nemorine.hateblo.jp

すると複雑だった1つのメソッドを、相互依存の少ない数個のシンプルなメソッドに変えることができ、テストもAPIテストではなく、単純な数個のUnitTestだけになりました。

「講習で出てきた『テスト自動化ピラミッドの下の方に押し込める』ってのはこういうことだよー」と教えてもらい、なるほど!と腹落ちしました。

手を動かすのほんと最強だな。ねも、ありがとうありがとうー。

参加のきっかけ

RSGT2021のKeynoteでJanetさんの「What’s Testing Got to do with Quality?」を聞きAgileTestingについてもっと勉強したいと思ったのがきっかけです。

confengine.com

Janetさんの講演をきいて「"開発"と"テスト"」ではなく「開発はテスト、テストは開発」だと感じAgileTestingについてきちんと学ぼうと思った次第です。

ただ、この時点では受けるのをだいぶ迷っていました。

理由は仕事とプライベートがかなり忙しいことと、金銭面です。

最終的に受けようと後押ししてくれる出来事となったのが、RSGT2021で受けたコーチズクリニックで、サーバントワークスの長沢さんから受けたアドバイスでした。

コーチズクリニックで相談した話の流れで「自分に投資するということに迷いを感じる、例えばJanetさんの研修も受けたいけど自腹や今の忙しさを考えるとなかなか決断できないんです」という相談をしていて、長沢さんから「投資はそのものにお金を払うのではなくその先の自分にするものだから、その研修を受けた後の自分の姿を想像してみたらいいよ」とアドバイスをもらい、先の自分を考えた結果、よし受けようと決めました。

受けた後の自分が、あらゆる工程でテストのことを今より考えていて、もっとAgileなテストに詳しくなっていて、今より強くなっているのを想像できたからです。

Janetさんも長沢さんも同じ「先を想像して、今の行動を考える」ということをおっしゃっていて、自分の意識の向き先が目の前からその先へ変わりました。

こういう気づきがほんとたまらない。野中先生のおっしゃっている関係性の中で成長するってこういうことなんですよね。

おわりに

研修の中身については他の方もたくさんブログを書いているので参考にしてみてください。

medium.com

ky-yk-d.hatenablog.com

その後assessmentを受けて無事Agile Testing Fellowshipのメンバーになりました。

私は受けてみて本当によかったです。

お世話になったみなさんありがとうございました。

*1:通訳といい事前のオンライン動画の翻訳といい、手厚い準備に大変感謝します!

*2:自分には知らないことがありすぎるなぁってちょっとへこんだりはしてみた。

*3:この星の図にはちょっとした仕掛けがあって、見方によっては20や24などの答えが出うる図になっているのでした。

*4:ちなみにこの日のレビューコメントを覗いていたら、勇気をもって質問するということにグッと来た人た達がたくさんいました。