いづいづブログ

アジャイルコーチになりたい札幌在住SEです。アジャイル札幌スタッフ&ScrumFestSapporo実行委員。Like:パクチー/激辛/牡蠣/猫/初期仏教

「アジャイルコーチで得た経験知」がささりまくる話だった

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分散アジャイルチームについて考える会の「アジャイルコーチで得た経験知」に参加しました。

distributed-agile-team.connpass.com

さささんアジャイルコーチと役割を通じて得た経験と、経験から得た学びについてお話してくださいました。

さささんのセッションを聞いて自分がグッときたところをまとめました。

自分らしさ

「めっちゃ明るくてポジティブなアジャイルコーチ」といえばさささん!

さささんはコーチについて「問いで導く第三者」というイメージを持っていたそうですが、このイメージは自分の性に合わなかったそうです。その時「さささんにはさささんに合ったやり方があると思いますよ」とアドバイスされたことが転機となり現在のスタイルになったそうです。

「コーチは問で導くというイメージがあったために、自分の考えをどこまで言っていいのか悩んだ」とセッションの中で話していたのですが、これは私も同じことを悩んでいたのでハッとさせられました。

私も「コーチはこうあれ」というあるべき像を抱いていて、あるべき像と今の自分にギャップがあった時に自分をあるべき像に寄せようとしてしまいます。自分に自信がないので理想像で上書きする方が正しいと思ってしまうんだろうなぁ。

でも、それって自分らしさも失うことなのでは?と思いました。

私がなりたいのは標準的で模範的なコーチではなく「伊藤さんにお願いしたいんだよね」って言ってもらえるような自分らしさを生かしたアジャイルコーチです。

だから、アジャイルコーチとしての理想は持ちつつも、自分の良いところ*1を必要以上に殺さないようにしよう思いました。自分の個性も大切にしたい。

コーチが答えを言うのはNG、誘導はNGという印象が強すぎて、いつ何時もそれをしてはいけないと思いが強くありましたが、でもそれを気にしすぎるあまり一休さんのとんちみたいこと言って混乱させるくらいなら言ってしまえ!

コミュニティ

※ここでの"コミュニティ"は人間関係のこと

さささんに合ったやり方があるはずとアドバイスを受けたことが転機になったと話していていました。

「自分が知っている自分」はごく一部の自分でしかなく、他者と関わる上では「自分が知ってる自分」に加えて「他人が知っている自分」の存在も重要なんじゃないかと思っています*2

でも「他人から見た自分は何者なのか」というのは自分で知りえないことなので、こうやって忖度なくアドバイスをしてくれる人の存在って尊いと思いました。

そして自分のまわりを改めて見渡した時、会社のメンバーやアジャイル札幌の仲間、イベントでつながった人達など良いコミュニティに支えられていると感じました。

自分も誰かにペイフォワードできるような存在になりたい。

境界とエネルギーの話

さささんは「関係性の中にはいろんな境界が存在する」ということを話してくれました。大まかには以下のような感じです。

  • いろんな境界線がある
  • 境界線は意図せず自分が 作っていることもある
  • 境界には抵抗が存在する
  • 境界を越えるときのゆらぎには何かしらの変化を起こすことがある
  • 境界の抵抗を少なくするとエネルギーの流れが良くなる。場合によってはエネルギーが増幅することもある。

さささんの言う「境界の抵抗を少なくすることでエネルギーの流れがよくなったり増幅したりする」ということが、野中先生の「知識を創造するというのは人と人との関係性の中で起こるイノベーション」ということとで、表現は違うけど同じことを言っているぞ!と点と点がつながったとき「おおおっ」って震えました。

知識を創造するってこういうことか!

「関係性の中にはいろんな境界が存在する」というのはめちゃくちゃ大事なことを言ってると思います。

何による境界なのかの違いがわからなければ着地点を見つけることもできないし、自分達の主張ばかりしていれば対立構造になってしまいますが、「いろんな境界が存在する」ということをわかっていれば違って当たり前という観点からものをみることが、まずできるようになるなぁと。

これはアジャイルコーチとしてめちゃくちゃ大事な視点だと思い、チームや組織を観察する時に忘れないようにしようと思いました。

おわりに

自分がアジャイルコーチを目指しているというのもあり、さささんの話はささりまくりました(笹だけに)。 この話を聞いて「自分は無理に何者かになろうとせず、自分のままでよいのかもしれない」と思え良い感じに力が抜けました。

個人的にはこれがRSGT2021で採択されなかったの不思議なくらいいい話だったなー。良い話すぎて、自分だったら人に話すのもったいなくなっちゃいそうなくらい。

今回に限らずですが、コミュニティやイベントってその人が感じた暗黙知を形式化することで、他の人へバトンを渡していく利他的な活動じゃないですか。これってめちゃくちゃ尊いことだなって改めて思いました。

今回もステキなイベントありがとうございました。

*1:自分の良いところってなんだろ。明るくてわりと気配りができるのは良いところだと思うな。今度人に聞いてみたいな。

*2:ジョハリの窓